先日、『王家に捧ぐ歌』御園座公演を観劇したので、感想を書きます。
大前提:個人の感想です、そして全員よかった。
ゴッホ展で購入した黄色い家のぬいぐるみとポスター
- 公演と通して実感したことなこの強み
- 碧海さりおさんサウフェのこと
- 有沙瞳さんのアムネリス様
- 天華えまさんのケペル
- 極美慎さんのウバルド
- 天飛華音くんのメレルカ
- その他の方のこと
- 『王家に捧ぐ歌』という作品そのもののこと
- 御園座という劇場のこと
- おわりに
公演と通して実感したことなこの強み
ことなこ最大の強みは、同じ熱量で渡り合えるところにあるな、と強く感じた公演でした。
毎日あの熱量を保ち続ける礼さんはすごすぎるし、同じ熱量を持って舞台に立つのはきっとすごく難しいことなので舞空瞳ちゃんもすごいんですよ。
ゆえに命懸けの恋が似合いすぎてしまう、だから命懸けで恋する演目がどうしても多くなってしまうところはあると思うので、たまにはかわいいラブコメ……と思ったところにめぐり会いは再びが来るのがありがたいですね✌️ことなこというコンビに夢中になる方が多いの、わかります。
礼真琴さんのお芝居
礼真琴さん、歌唱力やダンスの実力がすごいのは言うまでもないですが、ラダメスというお役へのアプローチの仕方も見事だったと思います。
(情勢を顧みた受け手の眼差しの問題である可能性は否定できないけど、)序盤のラダメスがもつ戦うという意志を愚かとする眼差しが今回の『王家に捧ぐ歌』にはあったように思えて。
語弊ある言い方しかできないけど、礼さんは宝塚という枠組みのなかで人間の愚かさを表現するのがうまいように感じます。そしてそれは木村先生の精神性と相性がいい、とも思います。
だからこそそれ以降の展開と作品そのもののもつ「戦いは新たな戦いを産むだけ」というメッセージが強調されていたのではないでしょうか。
舞空瞳ちゃんの伝えるメッセージ
舞空瞳ちゃんのアイーダ、図らずしもその身体に背負う作品が持つメッセージが大きく重いものになってしまったけど、しっかりそれを伝えていたと思います。アイーダは恋心には揺れるけど信念は揺れないお役ですが、しっかりその揺れない芯をもってお芝居をして、「戦いは新たな戦いを産むだけ」というメッセージを伝えていたのではないでしょうか。
あと繰り返しになりますが、舞空瞳ちゃんの熱量、すごいんですよ……
碧海さりおさんサウフェのこと
前回の柳生忍法帖の公演期間もそうだったのですが、短いながらかつてないほどさりおさんのパフォーマンスに狂わされた公演期間でした。
毎回同じこと言ってるよね?でもサウフェの希望が「そこになければない」状態なのがずっとつらかったです。
さりおサウフェはアイーダに希望を見出しているしアイーダに縋っているんだけど、アイーダはもうサウフェの望むような人では、強く勇ましい「エチオピアの王女」ではなくなってしまっている、というか元々そうじゃなかったのかもしれない。
だから存在しない希望に縋っている人、望んだ希望が「そこになければない」人、という感じがしてずっとつらかったです。
前作『柳生忍法帖』での鉄斎さんは目に悪さ、悪の心が宿っていましたが、今回のサウフェは目にずっと悲しみが宿っていたと思います。
芝居がずっと好きなんですよ……
あと予想の斜め上を行く斬新なビジュアルに最初は驚かされましたが、これはこれで新しい演出にはあっていたと思います。かっこいい。
サウフェに限らないさりおさんのお芝居全般のこと
私こうもり新公をみたときからずっとさりおさんのお芝居が好きだったんです。
というのもお芝居から優しさや清らかさ、ピュアさを感じさせてくれたので。
ここ最近のさりおさんのお芝居からはもちろんそれらを感じることもできますが、それだけではなく、自分一人で人生を歩んでいたら、さりおさんと出会わなければ絶対に知ることのできなかった感情を知ることができたり、遠く(雪組さんの『fff』で言われているのと同義です)にたどり着けたりするようになって。
まだまだこの感情を正確に言語化できる力は私にはありませんが、とにかくさりおさんのファンでいられてよかった!って思います。生きる。
いずれまともに伝わる言葉で言語化できるようになったらブログなりツイートなりで発信しようと思います。
https://twitter.com/usaki_zu/status/1497885224725725184
フィナーレのこと
贔屓が最初の5人口にいるーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?!?
本編がずっと悲しい役どころだったので、キラッキラの笑顔が見られてよかったなと思いました。
まぶしくてかっこよくて素敵な、私の大好きな贔屓じゃん……
ぜんぶハチャメチャにかっこいいです。
あと贔屓が真ん中降りをすると劇場からの帰り道で限界化しそうになることがわかったので、いつかあるかもしれない次の真ん中降りに備えてしっかり対策を考えていきたいです。
有沙瞳さんのアムネリス様
「有沙瞳さんのアムネリス様が見られるの!!?!?!?!つまり……有沙瞳さんのアムネリス様で『聞きなさい!』からはじまるあのセリフが聞ける……ってコト!?!?!?!?」と配役出た時点で狂喜乱舞していました。
実際の有沙瞳さんのアムネリス様はそれは素晴らしく、そして私から色んな感情を引き出す役作りで、また有沙瞳さんのことを好きになりました。
https://twitter.com/usaki_zu/status/1498083593242886147
https://twitter.com/usaki_zu/status/1499661069815410693
観劇したさいに受けた印象としては、有沙瞳さんのアムネリス様は(カリスマ性と誇りの側面が強かった伶美うららさんのアムネリス様より)「ファラオの娘として生まれついたがゆえの責務」を感じている、という側面が強いなと思いました。
そして最後の「聞きなさい!」から始まるあのセリフに繋がるまでのお芝居がぜんぶ一本筋の通ったもので泣かされました。
池田泉州銀行の公式ホームページ(有沙瞳さん公演後レポート|池田泉州銀行 )をみると本当に伝えたい通りのお芝居をされていたことがわかりさらに驚き感動しました。
天華えまさんのケペル
今回の公演で天華さんについて強く感じたのは、「どんなお役も訴求力の高い、見応えのある役に仕上げ、本領を発揮することができる」「『そう生まれついてしまった悲しみ』の表現がうますぎる」ということです。
https://twitter.com/usaki_zu/status/1498925288780042243
「生きるとは何か、死ぬとは何か、戦場でしか学べなかった」人じゃん……
観客に考えさせる力がある、訴求力高い見応えのあるお芝居をしているのに明後日の方向に熱演してない、ちゃんと脚本との整合性も大事にしているのが天華さんのお芝居のすごいところだと思います。
極美慎さんのウバルド
今回贔屓と同チームかつ出るタイミングも死ぬタイミングも同じということで柳生ほどはよく見られなかったのですが、やっぱり極美さんのお芝居が、表現されるものが大好きだな……って思いました。いつも思っているけど。
激情の表現と正気からの狂気の表現がよすぎるんだよ……
エチオピアの捕虜が連れて来られる場面、悲しみのあまりかサウフェがウバルドの脚に縋り付くんだけど、ウバルドはそれを優しく励ますみたいなお芝居をされてて。
本来ならウバルドも弱いものを助ける優しい人だったんじゃないかな……って思ってしまって、つらいです。
そしてサウフェもそんなウバルド込みでエチオピア王家を尊敬していたんじゃないかな……これ考えれば考えるほどつらくなってくるな……
もしも平和な世界に生きられたなら、という悲しい「もしも」を考えさせる力のある極美さんのお芝居は最高なんだよ。
天飛華音くんのメレルカ
やっぱり1000人2000人規模の劇場だといっそう輝いて見えるなこの方……って思いました。
2幕のゆるい一つ結びが似合ってておしゃれでした。
メレルカもケペル同様「生きるとは何か、死ぬとは何か、戦場でしか学べなかった」人の側面を強く感じました。
またエチオピア兵いたぶる時の表情が怖くてすごかったので円盤でも映ってるといいなあと思います。
その他の方のこと
今回特に感じたのは音咲いつきさんの底力がすごいということです。
また極美さんを柳生ほど見られなかったのと同じ理由でたくさんは見られませんでしたが、ひろ香祐さんも流石の安定感でした。
カマンテはしっかり者だったんだろうな……と思います。
輝咲玲央さんのアモナスロも、なこアイーダと極美ウバルドの父である説得力ありまくりでした。
都優奈ちゃんのエトワールがすごかったです。
『王家に捧ぐ歌』という作品そのもののこと
正直ツッコミどころはあると思います。
でもそのツッコミどころを押し切るメッセージ性の強さもあると思います。
星組ファンになってから贔屓が木村先生の作品に出るのははじめてのことで、(宙組の王家は観ていたものの)驚きや困惑もありましたが、なんだかんだでいい思い出になったと思います。
あと上田久美子先生と真逆の作家性を持っているというのはメチャメチャわかる、上田久美子先生がアイーダ原作でなにかをつくったら絶対この作品と同じものにはならないもん……
御園座という劇場のこと
宝塚大劇場と違い、座席が互い違いになっていない上勾配がないので、舞台上で這いつくばる人がいると見えづらいです。
生徒さんの立ち位置にもよりますが、もし選べるのであれば(見切れが生じますが)サイドか2階席をおすすめします。
トイレは割と多かったです。梅芸よりはあった印象です。コインロッカーもあります。
おわりに
結論としては「贔屓のことを、そして星組のことをさらに好きになった公演」でした。
毎回言ってる気がするけど。
次はめぐり会いは再びというハッピーラブコメと藤井先生の熱いショー!
全力で楽しんでいきます!